COLUMN

【Column】スターバックスが地方のロードサイドで成り立つ理由

私が住んでいるのは人口40万人の地方中小都市だが、そこには、スターバックスが複数店舗ある。駅ナカや商業施設内、書店とのコラボ店の他に、ロードサイドに3店舗もある。


ロードサイドでスターバックスが成り立つ理由って皆さんは考えたことありますか?


私は、平日に数時間スタバにお邪魔させていただいて、PC仕事をさせてもらう事が多いのだが、そのときに気づくのが店内のお客さんの少なさ。そもそもゆったりと寛げるようにと、席を広々確保しているので、仮に満席だとしてもお客さんは少ないのだが、にしても平日の午後なんて片手で収まる数のお客さんしかいないことなんてザラにある。1杯300円〜500円の珈琲を売っていて、こんなお客さんの数で大丈夫?しかも店員は4人とかいて、この運営体制で儲かっているの?と疑問に思う。

当然、スタバは儲かっている訳だが、その理由は「プラペチーノ」だと私は考えている。



【フラペチーノ儲かりの仕組み】
①単価の高さ
他にロードサイドで店舗展開しているコーヒーチェーンのコメダ珈琲や星乃珈琲店などが儲かっている理由は、ドリンク商品以外のフードメニューにある。ランチやスイーツなどの豊富なフードメニューをドリンクと一緒に購入してもらうことで客単価が上がり、ゆったりと長時間過ごしてもらっても割に合うのだ。

一方のスターバックスのフードメニューは、レジ横のショーケースに並ぶ軽食やケーキ類程度で、先の2店舗に比べると商品力が高いとは言えない。実際に私が見る限りはフードメニューのオーダー率は低い。

しかしスタバには、フラペチーノがある。高単価のフラペチーノがバンバン出ることでスタバはフードメニューを充実させなくとも高い客単価を生み出すことができるのだ。


②目的買い
フラペチーノの魅力に季節限定商品がある。その限定商品を求めての目的来店が多いのはスタバならではの現象である。また、スタバでお客さんの注文を観察すると、フラペチーノの注文率が店内客よりもドライブスルー客の方が高いように思える。

店内客は、スタバが提供する「サードプレイス」として、仕事や読書などの自分の時間を楽しむ目的で来ている人がほとんどで、一方のドライブスルー客は、空間ではなく、商品目的(特にフラペチーノ目的)で来店しているからだろうか。

店内で座席開店率を圧迫せずに、ドライブスルーでフラペチーノを買っていく客なんてスタバから見たら上客の他ならない。


③販促要らず
これは、フラペチーノが目的買いされるからということとリンクするが、スタバのCMやWEB広告などでは基本目にしなくないですか?その他の媒体を含めて広告というものをやっていないのではないだろうか。

では、季節限定のフラペチーノなどの新商品の情報はどのように広く伝えているのか。そこにスタバならではの高いブランド力とファン層の暑さが起因している。

スタバ程のブランド力があれば、まず何をせずともネットニュースやテレビニュースになるし、スタバ好きの人々は新商品が出ようものならいち早くその商品を購入して、SNSでその様子をアップして自己欲求を満たし、マウントをとってくる。高いブランド力と熱狂的なファン客によって、スタバは広告を出さずとも情報が拡散されていくブランドになっているため、広告が必要ないのではないだろうか。


賛否あるかもしれないが、私は、サードプレイスを提供するスタバの最も得な利用方法は、珈琲一杯で、可能な限り長時間、店内でその空間を満喫することだと思う。一方で、フラペチーノのテイクアウトを頼もうものなら、スタバの本質的価値を味わっていないようなものであり、スタバにとっては最も利益を落としてくれる上客になっているのだろう。

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