COLUMN

【Column】料理人経験ゼロのコンサルタントが”美味しい”を生み出すために考えていること

”食”において最も重要なのは「美味しさ」である。
どんなにこだわりの食材を使用していても、
どんなに手間暇かかる作り方をしていても、
無農薬だろうが、無添加だろうが、限定商品だろうが、
根底に美味しいがないとその商品は売れることはない。

美味しさを判断するのは”味覚”である。
「料理は科学で、”美味しい”は数値で表現することができる」
という人もいるかも知れないが、
私は味覚による美味しいを定量的に示すのは無理だと思っている。

人それぞれ歩んできた食文化が異なり、
それによって培われた味覚というのは十人十色のものだというのが私の考えである。
100人いれば100人が美味しいという商品・料理はそうないだろう。

そもそも目隠ししてどちらが高級食材かを当てる某人気番組に見て取れるように
人の味覚はなかなかに当てにならない

だから私は、商品をプロデュースする時などは、
自分が自信を持って美味しいと言えるのであれば、
同じような味覚を持つ人も美味しいと感じてくれるだろう。

一方で美味しくないと思う人もいるだろうというくらいの甘い採点で
味覚による”美味しさ”は設定している。

ここからが本題だが、私が味覚による美味しさ以上に重視していることがある。

「四感で生み出す美味しさ」
「情報で生み出す美味しさ」


の2つである。

四感は、味覚以外の視・聴・嗅・触である。
ビジュアルから感じる美味しさ(シズル感・固定概念を覆す形 ex)
音で感じる美味しさ(サクサク・ジュ〜と焼ける音 ex)
香りで感じる美味しさ(焼きたての香り・フルーツの香り ex)
手又は舌で感じる美味しさ(ふわふわ感・アツアツ ex)

これら4つの美味しさは、味覚に比べると人による差異が少ない。例えば食べた時にサクサクという音がすること、焼きたての香り、ふわふわ食感などをマイナスに捉える人は少ないだろう。

四感の要素がどのように含まれていてどうそれを演出して伝えるのかを私は考えている。

情報で生み出すというのは、食べる前に”美味しい”と思わせる先入観を作り出すことである。

先に挙げたような
どんなにこだわりの食材を使用しているかどんなに手間暇かかる作り方をしているか、無農薬で、無添加で、限定商品で。。。
そういった情報は、美味しさを作り出す情報になる。


先に述べたように人の味覚は曖昧である。
スーパーの割引肉も、超高級なレストランで黒毛和牛のステーキです。
と言われて出されたら、美味しいと言って食べる可能性がある。

美味しくないものを美味しく感じるように騙せと言っている訳ではない。
ただ、人は情報でも美味しさを感じるのだから、伝えられる情報があるなら伝えよう。

重要なのは伝わるように伝えることである。
食品メーカーのコンサルティングの相談を受ける中で
「こんなにこだわって作っているのにどうしてそれを伝えないんですか?」
「パッケージのここには書いているのですが・・・(目立たないところに小さく書いてある)」
などということが多々ある。
作り手側が思う以上に消費者には伝わらないものである。

私は料理人の経験はゼロである。
だから味覚による美味しいを作るためにどうすればよいかの解決策は提示できない。
ただ、四感と情報による美味しいの作り方ならアドバイスすることができる

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