COLUMN

【Column】 キャッチコピー・商品名の魔術

同じ商品でも広告などに記載するキャッチコピーによって売上が大きく変わってくるというのはよくある話である。


例えば、Apple社のipod。 発売当初は全く売れなかったらしい。 その時のキャッチコピーは、
「このipodは、最新式のMP3プレーヤーです。容量は5G、重さもたったの185g」


それを、
「1000曲をポケットに」
と広告コピーを変更した途端に飛ぶように売れるようになったそうです。


当初のキャッチコピーでは、消費者はそれが自分にとってどのようなメリットがあるのか、どのような生活をもたらせてくれるのかイメージが付きません。他のMP3プレーヤーとどこが優れているのかの説明になっており、これではMP3プレーヤーを購入しようと思っている消費者にしか刺さりません。

しかし、新しいキャッチコピーは、それを聞いた途端に、自分の生活がそれによって変わることをイメージでき、今までMP3プレーヤーを購入しようと考えたことのない人の潜在ニーズを掘り起こすコピーとなっており、大変秀逸で、私も大好きなコピーです。


もう1つ、私の好きなキャッチコピーに、有名な佐藤可士和さんのステップワゴンのコピー
「こどもといっしょにどこいこう」
があります。


車のキャッチコピーでは、走りの快適さや燃費の良さ、広さなど、性能を謳うものが多く、これらは車を購入検討している人に対してしか刺さりません。
一方で、 「子供と一緒にどこに行こう」 はステップワゴンがある生活がワクワクするものであることが伝わってきて、それまで車の購入を考えたことのない消費者の潜在ニーズを掘り起こすものになっています。


ipodもステップワゴンも消費者の潜在ニーズを掘り起こす 凄いキャッチコピーで、私は大好きです。
これらのキャッチコピーを知ってからは キャッチコピーを考える時に 単に他社からシェアを奪うためのコピーを考えるのか 潜在ニーズを引き起こして広いターゲットにアプローチしたいのか キャッチコピーの目的を定めてからコピーを考えるようにしています。


また、商品名も売れ行きを大きく左右するものです。
こんな話があります。 明太子を「Cod roe(タラの卵)」という商品名でアメリカで売り出したところ、魚の卵を食べるという文化がないアメリカでは、気持ち悪がられて、全く売れなかったそうです。しかし、商品名を「スパイシーキャビア」に変えた所、飛ぶように売れるようになったそうです。


アメリカで全く需要のない、魚の卵というジャンルから高級食材として誰もが知るキャビアのジャンルにスイッチすることで上手くいった事例です。(キャビアも魚の卵ではありますが・・・)


商品名をつける際には、消費者に何のジャンルの商品と思われるのかを明確に設定することが大事になります。


商品名ではジャンルを明確にし、
キャッチコピーでは、目的(ターゲット)を明確にすると、
既存商品ももしかしたら売上がグッと成長してくるかもしれませんよ。

一覧に戻る