COLUMN

【Column】 飲食業態の業態開発の発想 価格軸から時間軸へ

ぷらっと街を覗いてみるとやはり居酒屋を始めとした飲食店は客入りは寂しいものである。飲食業界は、ファーストフードは、コロナ前水準から5%増加だが、居酒屋は77%減少、業界全体で見ても15%減というデータもある。


その中でも立呑系のお店は割と人が入っている印象を受けた。「コロナ禍だから長居して飲むのは気が引けるが、でも一杯飲みたい」そんな需要を掴んでいるのか。


飲食の業態など、鳥貴族の280円均一に代表されるように「価格軸」の業態が多く見られたが、コロナ前から見られた、座席に自分専用のビールサーバー・ハイボールサーバーがあり、60分1,000円飲み放題みたいな「決められた時間(短時間)で、いかに酔って帰れるか」みたいな「時間軸」のお店が、アフターコロナにおいて「店員と接触しない」「短時間且つ時間が決まっている」というのを背景にニーズを掴みそうな気がしている。

最近爆発的に出店している焼肉ライクも「時間軸」の業態のひとつである。顧客体験価値で言えば一人で入りやすいというだけでなく、”短時間でお得に焼肉を楽しめる”という点が大きい。


同じ様に時間軸で業態開発されていたのが”いきなりステーキ”だが”焼肉ライク”は、”いきなりステーキ”みたいに失速するのではという声もあるが個人的には、3つの観点から大丈夫じゃないかなと思う。

①マーケットが大きいステーキに比べて焼肉は市場規模が圧倒的に大きい

②商品力(コスパ力)が高い焼肉が1,000円以下で楽しめるというわかりやすい圧倒的なコスパ感がある。
いきなりステーキは上質なステーキが安く食べられるということでランチこそ1000円だったが、夜はそこまでのコスパ感がなかった。1000円以下で楽しめるというわかりやすいコスパ感がポイントである。

③アルコールの付加
いきなりステーキではアルコールの需要を掴むことができなかったが焼肉ライクでは、アルコール需要も掴むことができ、必然的に客単価が上がる。昼は低客単価×高回転で、夜は高客単価×低回転へと自然と業態チャンジしていくのは業態として魅力的だ。

お客様側は「低単価×短時間」で価値を感じることができ、店側は「高回転」を実現させることで収益性を確保する、磨き上げられた時間軸業態が今後も出現してくる可能性は大いにありそう。

このような「新しい軸を見出す」ということが業態開発では重要であると街ブラの中の満席の立ち飲み屋から思えてきた。

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