COLUMN

【Column】 オリンピックからみる時代の変化

開催自体に賛否両論あった東京オリンピックだが、蓋を開けてみると日本のメダルラッシュもあり、予想よりもオリンピック歓迎ムードになった。
ただ、アスリートの活躍を見たい・応援したいという気持ちとオリンピック開催に賛成反対という考えは全く別のものであり、オリンピックをやってよかったかどうかも難しい問題である。


さて、そんな東京オリンピックだが、今回目を見張るのがストリートスポーツ分野での若いアスリートの活躍だ。スケートボードでは、女子ストリート金メダルに輝いた西矢椛選手は13歳、パークで銀メダルに輝いた開心那選手は12歳というのだから驚きだ。そんな10代の若い選手達の活躍からスポーツ指導の在り方の変化を感じた。


ビジネスの業界では、5年以上前から「上司と部下」「マネジメント」という言葉が死語になりつつある。背景には副業の拡大やフリーランスの急増など、従来の働き方に囚われない働き方の拡大が関与しており、彼らの多くが、「上司・会社から学ぶ」縦型ではなく、「SNSなどを通した横のつながりで学んだり、事業展開したりする」横型で成長を遂げている。


そんな縦から横への変化がビジネスだけではなく、スポーツの世界にも広がっていることを今回の東京オリンピックで見てとれた。ストリートスポーツ分野でメダルを獲得した多くの選手が特定の指導者がいるわけではなく、SNSで技の動画をみて練習したり、仲間と練習をともにすることで、互いに技を磨き合い、新たな技を生み出したりするなど、横型の練習で成長を遂げている。


ビジネスの世界でもスポーツの世界でも「教えられたことをきっちりこなすマニュアル人間」から「自分で考え、生み出すクリエイティブ人間」へシフトしている。


卓球女子シングルスで銅メダルを獲得した伊藤美誠選手も教わるだけでなく、自分で考え、自分独自の技を生み出すことを行っており、それが今回のメダル獲得につながったと言える。


今後、若い人たちからこのような人財が多く出てくることだろう。そのような若者達と競い合っていかないと思うと、正直、恐怖を覚えるのも事実だ。新しい世代を生きる彼ら・彼女たちとどのように付き合い、事業を展開していくのか組織の在り方も変化が求められる。

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